死刑になる夢を見た

死刑になる夢を見た。

なぜ死刑になったかというと、誰かを誤って殺してしまったからだ。実行日までは拘束されるのが普通だろうが、なぜかそれまで自由を許されたので、親友二人と一緒に各地をぶらついた。いろんなことをして気を紛らわせた。

やたら感傷的になったりもした。その度に友達を困らせてしまった。自分が死ぬことで悲しんで欲しかった。

死刑当日はブログを書いた。辞世の句並みに深刻になりながら書いた。俺の人生全てを賭けるつもりで泣きながら書いた。だが本心では「死にたくない」という思いしかなかった。

でも回避できないなら、覚悟を決めるしかないんだろう。努めて自分に言い聞かせた。だが足は震えたままだった。

俺は死刑を受けるために学校の中に入った。そこでは小規模な処刑場が設立されていた。大きなギロチンが目についた。

俺は死ぬのか?

逃げるか?

だが暴れたところで死因が変わるだけだ。

諦観に包まれながら、俺は断頭台へ歩み出した。

その瞬間、目が覚めた。俺は布団の中にいた。

…助かった。あれは全て夢だったのだ。

俺は心の底から安堵した。

そして、今生きていることに感謝した。

カーテンの隙間からは、朝日が差し込んでいた。